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内容は無いようです。

2013年6月19日水曜日

HTL21の液晶パネル性能測定記事の測定方法と裏話

2 件のコメント

予告していた、本館記事の「レビュー - HTC J butterfly HTL21の液晶パネルの性能測定」の裏話的なもの。

当該記事

HTCが製造し、auから発売されているHTL21(HTC J butterfly)の液晶パネルを性能を測定してまとめた記事。
本館において公開中

きっかけ

たまにはまじめに分析記事(レビュー)を書こうと思ったから。ただ、それだけ。
でも、測定をはじめて、かなり後悔した。

測定条件

測定にはX-Rite社製のキャリブレータ「i1 Display Pro」を使用。
ソフトは整合性を維持するため、「i1Profiler」を使用した。

測定には当然HTL21(ホワイトカラー)が必要。
購入したのは、発売されてから数日だったはず。おそらく初期ロットだと思われる。
購入日は覚えてない。調べれば分かるだろうけど、書類出すの面倒だし。

測定における問題

この測定の一番の問題は、i1 Display Proとi1Profilerは、Androidでは使用できない点にある。

i1 Display Proとi1Profilerでの測定では、特定の色(パッチ)を使用する。精度は色数が多いほど上がるため、パッチは小(118色)、中(211色)、高(462色)とある。

計測に使用されるパッチは決まっているため、その色をHTL21に保存し、それを表示して測定すれば、測定結果が出る。
が、i1 Display Proとi1Profilerの組み合わせでは、かなり速いスピードで測定が行なわれるため(1色1秒未満)、この方法では無理がある。

計測案1(失敗)

計測に使用されるパッチ表示を録画し、HTL21で再生する。

こうすれば、同じスピードが再現できる。けど、同期させるのが難しい。
はじめの方は問題なくても後半に行くにしたがってズレが大きくなる。

計測案2(失敗)

PC画面とHTL21の画面を連動させ、HTL21に表示すれば、計測することが可能になる。アプリにはKomadoを使用させてもらった。

が、これも問題がある。Wi-Fiを使用して表示するためラグがあり、表示にズレが発生する。
計測終了後に測定した色が表示されるが、明らかにおかしい色で測定されているため、この表示ズレは精密測定では致命的。

計測案3(却下)

i1Profilerの使用をやめ、別ソフトを使用する。

計測時間を任意で設定できれば、全てが解決する。が、やはりi1Profilerの使用が良いと考え愚考する。

解決策

Komadoの使用の際のラグの原因が何か?と考える。

PCとHTL21を同期させ、PC画面をHTL21で表示する(ミラーリング)とラグ問題が発生するのはWi-Fiだからというもあるが、目に見て遅いため、別に原因があると考える。

そこで考え付いたのが、表示する画素数の問題
HTL21はFull-HDで表示しており、PC側もFull-HDの表示データを送っている。Full-HDはかなりデータ量であり、これがラグの原因と考える。

画素数を減らし、送るデータ量を減らせば、ラグは減るはず。という考えに行き着く。
表示する画素数を減らすと表示させる部分は減るが、キャリブレータがカバーできれば問題ない。

Komadoの設定でHTL21の表示解像度を減らす。確か800×600ぐらいだったはず。また、画質品質も最低にした。
これで試しに測定すると、ラグはほとんど無くなる。測定結果も良好で、複数回測定しても誤差はほとんどなく、かなり精度の高い測定が可能になった。

測定データ

該当記事を見ると分かるけど、計測したのは、

  • 輝度
  • コントラスト比
  • グレースケール
  • 色温度
  • 色域

の5つ。これ以外は、画像での検証であり、キャリブレータは使用していない。
各々の詳しくことは該当記事に記載してある。ここでは計測した方法を記載する。

輝度

輝度の測定は、輝度値を特定状態時にして測定したデータを使用している。
輝度値はアプリを使用して(失礼ながら名前を失念)パーセントで設定した。

ここでの測定はパッチを使用しての測定で、輝度値のみの測定ではない。なお、計測精度を上げるため、パッチは一番多いものを使用した。

最近の液晶パネルにはダイナミックコントラスト比を上げるための駆動回路が組み込まれているため、白画面を表示するとバックライトの出力を上げる設定が行なわれることが多いため、全体測定での数値を使用して記載した。なお、HTL21にダイナミックコントラスト比を上げる設定が行なわれているかは不明。
白単色表示については、最大輝度時のみ記載がされている。

コントラスト比

コントラスト比はパレットを使用して測定でしかすることが出来ない。計測精度を上げるため、パッチは一番多いものを使用した。 各輝度での測定で、2回の測定を行なった。

ちなみに、コントラスト比と輝度から最小輝度(黒輝度)を算出することが可能だけど、該当記事では記載をするのと、グラフを作るのを忘れている。
i1Profilerでは黒輝度は測定できないため、算出する。方法は、輝度をコントラスト比で割る(除法)。

例えば、100%輝度時の輝度値は339cd/m2、コントラスト比は1,032:1である。
これを計算すると

339 ÷ 1,032 = 0.328

となり、黒輝度が0.328cd/m2であることが分かる。

グレースケール

グレースケールでの色温度の測定には、i1Profilerにある画面の輝度ムラを測定する機能ユニフォーミティーを使用した。
測定値は一定ではなく、小刻みに変わっていくため、9回測定し、複数回測定された数値を選んだ。

当初グレースケールは10%刻みでの測定ではなく、20%刻みを考えていたが、50%で色温度が跳ね上がったため、10%刻みに変更している。
なお、グレースケール表示はPCで画像を作成し、HTL21で表示した。

色温度

色温度はパッチを使用して測定した。グレースケールと同じ測定方法も可能だが、精度を優先した。計測精度を上げるため、パッチは一番多いものを使用した。各輝度での測定で、2回の測定を行なった。

黒体軌跡の表示は、色度図作成ソフト「colorAC」の機能を使用した。

色域

3次元で表示された色域の画像は、測定終了後にICCプロファイルが作成されるため、このデータ使用した。
Macの場合、ICCプロファイルを表示する機能があるが、私の環境はWindowsのため、この機能は使用できないが、これと同じ機能が「ICCView」で提供されており、ここで表示することが可能。

CIE1931の色度図は、別の方法で測定した数値を使用して作成した。
方法としては、通常の測定を行なう際にモニターのRGBゲインを設定することがあり、この際、表示している色のxy座標が表示される。この状態でRGBを単色で表示し、xy座標を計測した。

CIE1931の色度図は、RGB各点での測定された数値をつないでいるため、この計測した数値をソフトに入力するとCIE1931に色域図が完成する。なお、色度図作成ソフトは「colorAC」を使用させてもらった。

むすび

無理がある方法での測定のため、できる限り精度を上げることを優先した。
測定データの種類は、測定できる範囲で選択した結果、あのような記事になり、誰得状態の記事が出来上がった。

今思うと、単純な記事と詳しい記事を分けて書けばよかったと思ってる。
それでも沢山の人からお褒めの言葉をもらったので、個人的には満足。

もし、私がやったような記事を自分でもやりたいのであれば、マネしてもらって全然構わない。助言が必要ならいくらでもする。
測定方法は上に書いた方法以外自分はしていないし、PC用モニターやノートPCであればもっと簡単にできる。

必要なのは、キャリブレータと時間とデータをまとめる根気。

補足的な注意

一応書いておくと、キャリブレータとソフトによっては、各測定データを抜き出す、表示する機能が無いものもあり、このような測定ができない。例えば、X-Rite社のColorMunki付属のソフトは使用できない。

やってみようとキャリブレータを購入して、データを出すことができない場合があるため、注意が必要。

また、測定結果は常に正しい値が出る訳ではなく、測定状態や環境、個体差で変化することがあるため、留意が必要。

2 件のコメント :

  1. シャープが少し前に発表したMEMSディスプレイについて、少しばかりご教授いただけないでしょうか
    時間のある時にでもお願いします。
    つたない文章ですいません

    返信削除
    返信
    1. 先日シャープが発表したMEMSディスプレイの個別仕様は公開されてないので、単体の仕様についてはわからないですね。

      それともMEMSディスプレイについて説明すればいいのでしょうか?
      この場合は、何を説明すればいいのか教えてもらえるとうれしいです。
      ただ、すぐには書けないと思うので時間を下さい。

      削除

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