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内容は無いようです。

2014年1月9日木曜日

3DSと3DS LLの液晶パネルを考察

2 件のコメント

コメント貰って、気になったから3DS LL(一部3DS)の液晶パネルについて、ちょっとまとめてみる。

前に「3DS LLの液晶パネルには…」の記事で3DS LLの液晶パネルについてまとめました。
今回は(も)「社長が訊く『ニンテンドー3DS LL』」で色々と興味深い部分がありますので、抜粋しながら記事を進めていきます。

製造メーカー

村上:ただ液晶に関して言うと、今回は協力メーカーさんが持っている、大画面液晶テレビ用の特別な工場の設備を使わせてもらうことで、大量生産によるコストダウンが図れたことがいちばん大きいですね。

という記述があります。

大画面液晶テレビ用ということは、大型基板を用いて製造していることが読取れます(大画面を製造するには大型基板が必要)。
ただ、“大画面液晶テレビ”の基準が分かりません。一昔前なら40型程度でも大画面ですし、人により基準が異なると思います。40型でも大きいと思う人、逆に小さいと思う人もいるでしょうし。

供給メーカーは国内のS社と見て間違いないと思います。S社の工場はについては「液晶パネルの製造世代/メーカー別」においてまとめています。

3DS LLの液晶は、M第1(ここは閉鎖の話しあり)の第2.5世代(400×500)、M第2の第4世代(680×880)、K第2の第8世代(2160×2460)、Sの第10世代(2880×3130)のどれかの工場で生産されていると思われます。

なお、S社は他に、Tは第3.5世代(620×750)でCAAC-IGZO、M第3は第4.5世代(730×920)でCGシリコン(LTPS)、K第1は第6世代(1500×1800)でCGシリコン(LTPS)、Yは第2.5世代(?)でCAAC-IGZOで製造している工場があります。

価格面を気にしているため、低価格で生産可能なa-Si-TFTを用いて製造している可能性が高く、工程数が多いLTPSである可能性は低いです。また、工程数はLTPSより少ないですが、価格が高いIGZOである可能性も同様に低いです。

“大画面液晶テレビ用”ですので、M第2、K第2、Sと条件を絞れます。
Sは第10世代と大型のため可能性は低いですから、M第2かK第2の可能性が高いですが、M第2ではとうの昔にテレビ用の液晶パネルの生産は終了しており、中小型の液晶パネルの生産になっています。

これらの理由により、前記事ではK第2での生産という結論を出しました。今でもこの考えは変わっていません。

液晶方式

村上:そこから、いろんな方法や技術を模索していったんですが、その過程で新しい技術で消費電力を減らす「確立されていないもの」があったんです。

(中略)

村上:バックライトから出る光の利用効率を3DSのときより、さらに向上させることで、消費電力を抑える技術なんです。

岩田:もともと3DSでは3D映像を見る際、左目用の画と、右目用の画を液晶のバリアーがさえぎっていた関係で、光の利用効率は1/2になっていたんですよね。そこを上げて改善することが、電力の節約にもなると考えたわけですね?

村上:そうです。透過率(光の出てくる量)を向上させる、新たな方式を液晶メーカーさんに開発していただき、最終的にそれを採用することができました。

岩田:3DSをつくったときはまだなかった新しい技術なわけで、そこは相当ギリギリまで粘ったところなんでしょうね。

気になる部分は、新しい方式であるという部分。
前記事ではCPAモードと推測しましたが、ここでは新しいとなっています。CPAモードはかなり前からある技術であるため、新しい方式ではありません。

透過率を上げるために、新しい方式を開発したと語られています。
理由は、3DSから3DS LLになり画面が大きくなったため、光の利用率を向上させる必要があるためです。

では、3DSはどうだったのかという疑問が出てきます。
Tech-On!において、3DSの分解記事があります。(3DS LLもあり)

Tech-On! - 【3DS分解2】裸眼3D映像を見てみる

ここで、液晶の画素写真が掲載されています。
画素写真から3DSは、3DS LLと同じCPAモードであることが分かります。

岩田社長が言う『3DSをつくったときはまだなかった新しい技術』というのはなんでしょうか?
液晶パネル部分ではなく、視差バリアの部分の改良なのか?

透過率

そもそも透過率を最大にしたいのであれば、MVA方式を使用せずに、TN方式を使用すれば良いだけの話です。
3D方式はパララックスバリア方式ですが、VA方式、TN方式などの液晶方式の制限はありません。ただ、ある程度の視野角がある方が表示品質は良好にはなります(当然ですが)。

TN方式を使わずに透過率を高くするなら、価格を考えないのであれば、MVA方式では最高の透過率を誇るUV2A技術を使用したいところでしょうけど、価格の面から難しいです。次点で透過率が高いのはPSA技術ですが(S社ではスーパーモバイルASV技術[newモバイルASV])、これも価格面での問題があります。

通常のMVA方式(リブやスリットあり)では透過率の問題があるため、対向基板にリベット(構造物)を設け、ここを中心にして配向するCPAモードを選択したのではないでしょうか。CPAモードは透過率も高く(ITOスリットがないため透過率が高い)、製造も容易(=低コスト)です。

結論?

『透過率(光の出てくる量)を向上させる、新たな方式を液晶メーカーさんに開発していただき、最終的にそれを採用することができました。』とあります。先述しましたが、CPAモードは既存の技術です。

ですので、この“新しい方式”を、“3DS LL用に画素構造を設計した”と解釈することにします。事実、3DSと3DS LLでは画素構造が異なり、3DS LLの方が開口率が高いです。

もしくは、液晶パネル部分ではなく、視差バリア部分の設計を最適化した可能性もあります。視差バリア方式のバリアは液晶で作られるのですが、ここ部分の設計により視野角特性などが変わってきます(これ以外にも液晶パネルとの接着精度もありますが)。

個人的には前者だと思っています。
3DSのドットは、分割されておらず、3DS LLは、縦に分割され、CPAモードの特徴であるリベット(構造物)が1ドット当たりに2個存在することが分かります。

視差バリア方式は、ドットの半分は隠れることになります。このため、表示品質を安定させるため、ドットの間に“空白(ブラックマトリクス)”を設けることが多く、3DSではそれが確認できます。しかし、3DS LLはこのような“空白”はありません。

かわりにドットを2分割することで、視差バリア時にドットの片方が隠れても配向分割が1つ確実にある状態にし、透過率を高くしていると思われます。


以上。
記事にしたのは、なんとなくなので、あまり当てにしないで下さい。

2 件のコメント :

  1. 3DSの液晶にそんな秘密があったとは… しかしシャープはUV2Aの技術を使ったスマートフォンやタブレット向けの液晶は生産してるのでしょうかね テレビではあんなに押しているのに中小型パネルでは聞いたことがありません。 あっさい氏はどうお考えですか?

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    1. モバイル向けのUV2Aは生産していないと思います。
      モバイル向けはnewモバイルASVでしょうね。
      もし生産をしているのなら「IGZO+UV2Aでさらに低消費電力」みたいな宣伝をすると思いますし。
      高精細パネルは光配向するのが難しいのかもしれませんね。

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