Capriccioso Assaiの別館。
内容は無いようです。

2013年9月8日日曜日

BenQ「GW2760HS」の裏レビュー

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本館において当時投稿したBenQ「GW2760HS」の裏レビューです。
個人的に気になった技術的な部分が大多数です。本レビューはこちらから。

2013/09/10追記;未掲載だった視野角の画像を掲載。

液晶パネル

GW2760HSに搭載された液晶パネルは、AUOの“AUOM270HVN020”です。
旧モニター用A-MVAパネルから大きく改善されているのが、視野角です。

旧パネルとは比べ物にならないほど、かなり広い視野角を有しています。
旧パネルは、TNよりマシ程度でしたが、新パネルはIPSパネルには劣る程度になっており、かなりの改善が見れます。

gw2760s_25.jpg

上画像のように、全方位角で広い視野角を有していることが分かります。
結構角度を付けて撮影しましたが、顕著に色が抜けるということはありません。それでもVAパネル特有の色抜けは発生していますが。

色の変化は少ないですが、コントラスト比が低下するのは、目に見えて分かります。
それでも、これだけの視野角を有していれば問題ないと思います。首傾げただけで、色が変化するということはありませんから。

このように視野角は格段に改善されていますが、IPS方式で視野角に不満がある方は、このモニターを選ばない方が良いと思います。IPS方式と同じではありませんので。

画素構造

写真の映りが悪いですけど、画素写真。

gw2760s_23.jpg

変わった形をしています。
計8個に分割された形状で、上4つは斜めに分割されています。この形状の意図は分かりません。
透過率の問題からでしょうか?

画素形状とリブがないことから、同社のA-MVA3パネルであることは間違いないと思います。
PSAと呼ばれる技術で製造されています。

PSAは、反応性モノマーを含んだ液晶を液晶層に充填し、所定の電圧を印加して液晶を配列(傾かせ)させ、この状態で光照射(紫外線)をします。光照射を受けたモノマーは重合して配向膜上に堆積し、電圧印加により配列していた液晶がプレチルト(事前傾斜角)を持って保持されます。

ここまでだとUV2Aと同じ光配向技術ですが、TFTが形成されているアレイ基板のITOに葉脈状にスリットを設けます(液晶を充填する前に)。
このITOスリットがないとマルチドメイン化できません。UV2Aは、ITOスリットがない状態です。

このような構造と垂直配向のため、光漏れが低減されるため、高コントラスト比になります。
また、液晶の応答が高速になります。旧来のA-MVA(MVA、ASV、PVAなども)はセル内に形成された構造物やスリットからドミノ倒しのように伝播して液晶が応答していましたが、液晶一つひとつに電界を印加できるため、高速応答になります。

中間調表示時は、上4つと下4つが個別に制御され、階調によっては下4つは消灯します。

gw2760s_24.jpg

いわゆる“マルチ画素”技術です。(参考記事
“MPGC法”などと呼ばれる視野角を取った際のガンマ値変化を“平均化”する技術です。

シャープのUV2A、ASVに見られる“千鳥配列”と呼ばれる“市松模様上になる”制御方法ではなく、上4つ部分が列となって点灯する方法で、テレビ用のA-MVA3でも用いられる制御方法です。

画素写真を見て貰うと分かりますが、上4つの輝度が下4つより高いことが分かります。
写真を撮ったときは、白(R:255,G:255,B:255)ですので、中間調表示時ではないのですが、このように輝度に差があります。

表面処理

ノングレアパネルですが、どちらかというとハーフグレアよりです。
なので、光が当たると白っぽくなります。あまり光が強くないと、“黒が映える”処理という感じです。

こういうのは、AG処理(アンチグレア処理=ノングレア処理)の宿命みたいなものですね。
G処理(グレア処理)なら外光が弱いと本当に綺麗に見えますが、光があると鏡面反射で悲惨なことになります。

一番良いのは、AR処理(低反射処理)なのですが、PC用では一部の超高級機種以外ではほとんど用いられません。
野外でよく使うデジカメの液晶パネルでは施してあるのがあります。クッキリ見えてグレア処理なのに、鏡面反射が少ない場合は、AR処理です。表面処理のみでは、完全に反射は無くすことはできませんが、かなり低減されます。
ちなみに航空機に搭載されている計器用の液晶ディスプレイは、表面だけでなく内部にもAR処理を行なうため、太陽光下でもハッキリクッキリ見えます。コックピットの写真で計器が、かなりハッキリクッキリ見える理由のひとつです。

話しがそれたので、戻します。
表面処理自体は普通です。ギラツキの程度も普通ですね。

ギラツキは、表面処理が行なわれた際に表面処理のフィルムがレンズ効果を生み出す際に発生するそうです。レンズ効果が発生すると輝度が一律ではなくなるため、ギラツキが知覚されます。水などが液晶パネルに付くと、虹色に見えますが、これと似たような現象です。

このようなレンズ効果が生み出される部分はランダムのため、同じパネルでも反射の感じが異なります。液晶には黒い部分(ブラックマトリクス)がありますが、ここで“レンズ”が発生するとレンズ効果によるギラツキはほとんどありませんが、発光部分だとギラツキが発生します。

この理由とドットピッチ(画素ピッチではなく)が小さくなると、ドットが拡大(縮小)されやすくなるため、ハイレゾリューション(高解像度)になればなるほどギラツキが発生しやすくなります。最近は11型-13型のノートPCでFull-HDが増えており、基本的にグレア処理のため、ギラツキの話しはあまり出ませんが、一部にハーフグレア処理があり、ギラツキが知覚できます。ハイレゾリーション化の弊害です。

ギラツキ観察するのは、表面処理部分の写真を取ればいいのですが、もっと分かりやすい方法が表面処理に光を当てて写真を撮ることです。こうすると、レンズ効果を生み出している部分がキラキラと光ります。

gw2760s_22.jpg

GW2760HSだとこんな感じ。
フィルムのレンズ層が点で反射している部分です。“大きい点”がありますが、ライトの反射です。

ちなみに、ギラツキで有名なLG Displayのパネルではこうなります。

gw2760s_21.jpg

これは現在のAH-IPSではなく、数世代前のe-IPS(RDT231WM-X搭載)です。
このようにかなり差があります。

※かなり強い光を当てているので、このように盛大にキラキラ光りますが、実際はこんなことはありません。

このようなレンズ効果を抑制する方法はありますが、透過率の低下を招くため、透過率を取るか、ギラツキを取るかのトレードオフになります。

おそらくですが、PLSパネルはこのようなレンズ効果を抑制する処理を行なっていると思われます。FFS方式でありながら同じくFFS方式を採用したAH-IPSより消費電力が高い理由は、この処理による光透過率の低下によるものかもしれません。

the比較さんにおいて、AH-IPSパネル機とPLSパネル機の表面処理の違いが分かります。
FS2333の画素チェックでPLSパネルの処理、X2380HS-W2の画素チェックでAH-IPSパネルの処理が分かります。
AH-IPSでも一部高級機種においては、PLSパネルに似た処理が行なわれるようになりました。U2713Hにおいて確認することができます。

なお、グレアパネルになるとギラツキはほとんど知覚できませんが、このようなレンズ効果はグレアパネルでも処理方法によっては発生します。

色域

拍子抜けした部分ですね。
電源入れて表示させて、広い視野角と高コントラスト比を見て少し期待したのですが、旧パネルと変わってないというか、逆に減っているぐらいです。

もう少しsRGBに合わせる努力をして欲しいです。
視野角特性が大きく改善されたので、次のA-MVAには色域を期待しましょう。

コントラスト比

仕様では3,000:1ですが、実測定では3,800:1まで出ます。かなり高コントラスト比です。
コントラストの設定を変えれば、もしかしたら4,000:1ぐらい出るかもしれませんが、見るに耐えない画質になるので、計測していないです。

フリッカレス

確かにフリッカを感じることはないです。
カメラを通して見てもちらつかないです。輝度を変化させてもまったく変わらないです。

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